Concerns
悩み票
His Recoveries は、ひとつの悩みごとに「場所」を持っています。 そこには、当事者の声と、記録と、選択肢の地形図があります。
20 票が立っています。
汗とにおい
章を見る →- #001
夏のグレーを避けるようになって、何年か
シャツの色を、自分の好みではなく身体の事情で選んできた数年がある。誰にも言わずに、毎年五月から、グレーの棚を素通りする癖が始まる。
- #002
温泉に誘われると、言い訳を考えてしまう
「温泉、行かない?」と誘われたとき、行きたい気持ちと、脱衣所で身体をさらす段差のあいだで、毎回、言い訳を組み立てている自分がいる。
- #008
手術を受けるかどうか、迷っている
クリニックで見積もりを取った日から、何年経っただろう。受けるべきか、受けなくていいか、自分の中で、まだ答えが出ない。
- #015
黒いシャツしか、着られない夏があった
毎年五月から九月まで、クローゼットの選択肢が、暗色だけに絞られる。誰にも気づかれないように、自分のなかでルールを増やしていく数年。
- #016
人と距離を取って、暮らしていた数年がある
誰かに体臭を指摘されたわけでもない。ただ、自分の中の不安が、無意識に、自分の物理的な距離を、誰かと自分のあいだで広く取らせていた。
- #020
自分の体臭の話を、誰にもしたことがない
家族にも、恋人にも、医師以外の誰にも、その話をしたことがない。話した瞬間に、相手の中の自分の輪郭が、少し下がる気がする。
肌と跡
章を見る →顔の印象
章を見る →心と余白
章を見る →- #003
美容クリニックの予約フォームを、押せない夜がある
あとは送信ボタンを押すだけ、というところで、何分も指が止まる。施術そのものよりも、予約を取る決断の方が、ずっと重たい。
- #010
整えたあとも、自意識だけが残っている
処置を終え、傷も落ち着き、夏に半袖を着ても問題ない。それなのに、夜になると、何かが残っている。それを言葉にできないまま、何年か経っている。
- #011
比べる癖が、やめられない
電車のホームで、隣の男の人の顔を見てしまう。SNS で、整った男性の自撮りを、寝る前に確認する。やめたい、と思いながら、何年もやめられないでいる。
- #013
「治す」と「整える」の違いに、気づき始めた
治療を続けても、症状がゼロにならない領域がある。そこから先は、「整える」という別の動詞で扱うしかない、と気づいた瞬間のこと。
- #014
半歩先を歩いた人の声を、探していた
「最短で治す」と煽る声と、「気にしすぎ」と片付ける声の、あいだの記録を探していた。声の質感が、自分の温度に近い、誰か。
- #018
夜の所作で、一日を閉じる時間を持ちたい
湯から上がって、一杯の水を飲み、部屋着に袖を通すまでの十分間。回復は、医療の処置だけではなく、その夜の所作のなかにも、ある。