書き手は 20代後半の歯科衛生士。勤務中はほぼ終日マスクを着けている。マスクの下の肌のことを意識し続けていた時期と、少し離れた今のことを置いておく。
患者さんの口元をのぞき込む仕事なのに、自分の頬のことばかり考えていた時期があった。
マスクで隠れているはずなのに、外したときの肌を、相手がどう見るかが気になって。 休憩のたびに、誰もいない更衣室の鏡で、頬の赤みを確認していた。
仕事に集中できていないわけではない。 ただ、意識の何割かが、ずっと自分の肌の方に向いていた。
「マスクのせい」で止めていた。
擦れる、蒸れる、というのは、たしかに感じていた。 だから「マスクを外せば治る」と思って、ケアを後回しにしていた。
でも、繁忙期が終わってマスクの時間が減っても、頬の赤みは残った。 そこで初めて、これは環境だけの話じゃないのかもしれない、と思った。
受診して、いちばん効いたのは順番の整理だった。
何が炎症で、何が乾燥で、何が摩擦なのか。 自分の中でひとまとめになっていたものを、分けて説明してもらえた。
外用薬の使い方と、保湿の順番を変えただけで、頬を触る回数が目に見えて減った。 劇的ではないけれど、「触らない」だけで肌が落ち着いていくのが、自分でも分かった。
変わらなかったことも、書いておく。
跡の赤みは、まだ時間がかかっている。 炎症が落ち着くのと、跡が薄くなるのは、別のスピードで進むのだと、今は理解している。
ただ、患者さんの前で、自分の頬のことを考えなくなった。 口元に集中できる。当たり前のことが、戻ってきた感じがする。
肌のことは、性格でも不潔でもなく、皮脂・角化・菌・摩擦が重なって起きる現象だと知ってから、自分を責める回数が減った。 仕組みで理解すると、対処も淡々と選べるようになる。
※ 症状や治療の適応は人によって異なります。個別の判断は皮膚科医にご相談ください。 本記録は当事者の観察であり、医療行為・診断・受診勧奨を行うものではありません。